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損害保険協会が公表した「便宜供与適正化ガイドライン」について解説

  • 執筆者の写真: ほけんイージー編集部
    ほけんイージー編集部
  • 9月17日
  • 読了時間: 3分

更新日:9月23日



 9月5日に損害保険協会は、損害保険会社が保険代理店などに対して行う「過度の便宜供与」を防ぐためのルールをまとめたガイドラインを公表しました。


▼ガイドライン本編


ガイドラインの内容

 このガイドラインには便宜供与の良し悪しを判断するための基準(考え方)が書かれており、特に問題となる「行き過ぎた便宜供与」の代表的な例をまとめた「想定事例集」も作成されています。

 便宜供与の判断の目安としては以下のことが書かれています。

  • 「約定する行為」(ニギリ)および「達成基準を課す行為」(ノルマ)の性質を有するもの。

  • 上記の性質を有することが明らかでない場合であっても、実質的に自社の保険商品の優 先的な取扱いを誘引すると判断されるもの。

    1. 必要性:その便宜供与が業務上、または社会的なマナーとして必要か。

    2. 適正性:価格、数量、頻度、期間が適切か。

    3. 公平性:特定の代理店だけが優遇されていないか。

    4. 合理性:お客様や社会に対して客観的に説明できるか。


便宜供与に該当する例、しない例

※ここで書かれているものはあくまで例であり、実際には経緯やその時の状況なども含めて便宜供与に当たるか判断されるため、便宜供与に該当するしないについて保証するものではありません。


便宜供与に該当する例


  1. 高額な旅行や飲食の提供

    • 理由: 業務の必要性を超えており、「価格・数量の適正性」に欠けるためです。特に、特定の代理店を優遇する目的で行われる場合、より便宜供与と判断されやすくなります。

  2. 保険会社の社員を、代理店の費用負担なしで常駐させる

    • 理由: 本来、代理店が自身の責任で行うべき業務に、保険会社が無償でサービスを提供しているためです。これにより、代理店の「自立化」を阻害する可能性があります。

  3. 特定の代理店だけに限定した手数料の上乗せ

    • 理由: 代理店間の「公平性」が失われ、不健全な競争環境を生み出す可能性があるためです。

  4. 代理店向けの達成目標に応じて、特別なキャンペーン景品を渡す

    • 理由: 成績達成のインセンティブとして景品を渡す行為は、「ノルマ」や「約定」の性質を有するとみなされます。

  5. 代理店が行うセミナーの費用を、保険会社が全額負担する

    • 理由: 代理店が自らの費用負担で行うべき業務を、保険会社が肩代わりしていると判断されるためです。


便宜供与に該当しない例


  1. 業界全体の慣行として行われる一般的な新年会や忘年会

    • 理由: 社会的なマナーとして認められ、「必要性」と「合理性」があると判断されるためです。

  2. 保険会社の研修施設を、代理店の研修目的で適正価格で提供する

    • 理由: 施設の使用料が適正であり、代理店間の「公平性」も保たれているためです。

  3. 代理店向けに、新商品の説明会や情報共有会を行う

    • 理由: 新商品に関する情報は、業務遂行上必要性が高く、保険会社が提供すべき情報であるためです。

  4. 募集活動に必要となるパンフレットや申込書類を提供する

    • 理由: これらは保険募集の前提となるものであり、募集業務を円滑に進める上で「必要性」が認められます。

  5. 代理店が開催するイベントに、保険会社が協賛金を提供し、その旨を明記する

    • 理由: 協賛金が適正な範囲内であり、協賛の事実が明確にされている場合、社会的な「合理性」があると認められます。



▼損害保険協会の公表した想定事例集


新しい通報窓口の設置

 協会内に、損害保険会社の役職員が「過度の便宜供与」が疑われる事案を通報できる窓口を設けました。通報された内容は、該当する保険会社に伝えられ、事実確認と改善が行われます。

 この通報制度で得られた情報は、業界全体で共有され、ガイドラインの見直しなどにも活用されます。2026年度以降は、この通報窓口を一本化し、一般の消費者や保険代理店も通報できるようにする予定です。この取り組みは、金融庁の指摘やこれまでの議論を踏まえ、損害保険業界への信頼回復を目指すものです。





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