
介護保険
民間の生命保険会社等が提供する介護保険は、公的制度では補いきれない介護費用に備え、所定の介護状態になると現金(一時金や年金)が給付されます。
「親の介護が心配になってきた」「国の介護保険だけで費用はまかなえるの?」 少子高齢化が進む中、将来の介護に対する不安を抱える方は少なくありません。
介護保険とは、加齢や病気により介護が必要になった際、その費用や負担を社会全体で支え合う仕組みです。原則40歳以上が加入する「公的介護保険」と、公的制度の不足分を現金等で補う「民間介護保険」の2種類に大別されます。
民間の介護保険とは、生命保険会社等が提供する任意の保険です。公的制度では補いきれない介護費用に備え、所定の介護状態になると現金(一時金や年金)が給付されます。用途が自由で、施設入居費や生活費などに柔軟に使えるのが特徴です。
この記事では、公的保険と民間保険の違いから、具体的なメリット・デメリット、そして正しい選び方までをわかりやすく解説します。
民間の介護保険とは?公的介護保険との3つの大きな違い
「公的な介護保険があるのに、なぜ民間の保険が必要なの?」という疑問を解消するために、まずは3つの決定的な違いを解説します。
1. 給付方法の違い(サービスか、現金か)
最大のメリットは「受け取り方」にあります。
-
公的介護保険(現物給付): 介護サービス(デイサービスや訪問介護など)を、原則1〜3割の自己負担で利用できる仕組みです。現金がもらえるわけではありません。
-
民間介護保険(現金給付): 所定の介護状態になると、まとまった「一時金」や、毎月・毎年受け取れる「年金」として現金が給付されます。
2. 加入・保障対象年齢の違い
-
公的介護保険: 40歳になると加入が義務付けられます。サービスを利用できる(給付対象となる)のは、原則として65歳以上からです(特定疾病の場合は40歳〜64歳でも対象)。
-
民間介護保険: 任意のタイミングで加入できます。商品によっては20代や30代から加入でき、若くして介護状態になった場合でも保障を受けられるものがあります。
3. 給付条件の違い
-
公的介護保険: 市区町村の窓口で申請し、「要介護認定(要支援1〜2、要介護1〜5)」を受ける必要があります。
-
民間介護保険: 保険会社によって基準が異なります。「公的制度の要介護2以上」に連動して支払われるタイプや、保険会社が独自に定める「所定の認知症状態」などで支払われるタイプがあります。
数字で見る!民間の介護保険が必要とされる理由
実際に介護が始まると、どれくらいのお金がかかるのでしょうか。データからその実態を見てみましょう。
◆介護にかかる費用の平均額
生命保険文化センターの調査によると、介護費用の平均は以下のようになっています。
-
初期費用の平均: 約74万円(自宅のバリアフリー改修や介護用ベッドの購入など)
-
月々の費用の平均: 約8.3万円
-
介護期間の平均: 5年1ヶ月(約61.1ヶ月)
月々8.3万円を5年間払い続けると、約500万円。初期費用と合わせると、平均して約580万円ほどの現金が必要になる計算です。
◆公的介護保険ではカバーしきれない費用がある
公的保険を利用しても、以下の費用は「全額自己負担」となります。
-
施設に入居した際の居住費・食費・差額ベッド代
-
おむつ代などの日用品費
-
介護する家族の交通費や、仕事を休んだことによる収入減少分
民間の介護保険は、こうした「目に見えにくい出費」を補填するために非常に有効です。
民間の介護保険に加入するメリット・デメリット
民間介護保険の特徴を理解したうえで、メリットとデメリットを比較してみましょう。
3つのメリット
-
受け取った現金の使い道が自由: 施設の入居一時金、家族の生活費、住宅ローン返済など、その時に最も必要な用途に充てることができます。
-
公的保険の対象外でも保障される: 65歳未満での要介護状態など、公的制度の対象外となるケースでも、要件を満たせば給付金を受け取れます。
-
節税効果がある: 支払った保険料は「介護医療保険料控除」の対象となり、所得税や住民税の負担を軽減できます。
2つのデメリット
-
毎月の保険料負担が発生する: 保険である以上、固定費が増加します。家計を圧迫しない範囲での設定が必要です。
-
給付条件が複雑で分かりにくい: 「要介護2以上」なのか「要介護3以上」なのか、保険会社によって支払いのハードルが異なります。いざという時に「条件を満たさず受け取れなかった」という事態を防ぐため、事前の確認が必須です。
失敗しない!民間の介護保険の選び方とポイント
では、実際に選ぶ際にはどのような点に気をつければよいのでしょうか。
◆「一時金タイプ」と「年金タイプ」のどちらにするか
-
一時金タイプ: 介護状態になった際、数百万円をまとめて受け取れます。住宅改修や、有料老人ホームの高額な入居一時金に備えたい方に向いています。
-
年金タイプ: 毎月(毎年)一定額を受け取れます。長期化する在宅介護の月々の出費や、家族が介護離職した際の収入減に備えたい方に向いています。
◆医療保険など他の備えとのバランスを考える
介護状態は、病気やケガによる入院から始まることも少なくありません。そのため、介護保険だけでなく、医療保険で入院リスクに備えておく視点も重要です。 例えば、**はなさく生命の「はなさく医療」**などは、手厚い基本保障で医療リスクに備えることができます。なお、同商品には健康割引といった制度はありませんが、そうした割引の有無にとらわれず、基本となる保障内容がシンプルで自分に合っているかを見極めることが大切です(※本記事内では他の個別商品への言及は避けますが、ご自身のニーズに合ったものを探すことが重要です)。
◆掛け捨て型か、貯蓄型(解約返戻金あり)か
-
掛け捨て型: 保険料が割安ですが、解約時にお金は戻ってきません。
-
貯蓄型: 保険料は割高ですが、途中で解約した場合に解約返戻金が受け取れるため、資産形成を兼ねることができます。
民間の介護保険はどんな人におすすめ?
最後に、民間の介護保険が必要な人とそうでない人の特徴をまとめます。
加入をおすすめしたい人
-
介護費用に充てられる十分な貯蓄(数百万円単位)がない人
-
子どもや家族に、経済的・肉体的な負担をかけたくない人
-
自営業やフリーランスなど、介護による収入減のダメージが大きい人
-
公的制度が手薄になる「40代〜50代」でのリスクに備えたい人
加入の必要性が低い人
-
すでに十分な金融資産・貯蓄(1,000万円以上など)がある人
-
介護が必要になった際、住み替えなどで現金化できる不動産がある人
公的介護保険は非常に優れた制度ですが、それだけではカバーしきれない自己負担額が必ず発生します。その「足りない部分」を現金で補ってくれるのが、民間の介護保険の最大の役割です。
まずは現在の貯蓄額と、将来起こりうるリスクを冷静に見つめ直してみてください。もし少しでも不安を感じるようであれば、無理のない保険料の範囲で、民間の介護保険の活用を検討してみてはいかがでしょうか。


