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【2026/3/30公表】令和7年保険業法改正に係る内閣府令等の公布及びパブリックコメント結果について解説

  • 執筆者の写真: ほけんイージー編集部
    ほけんイージー編集部
  • 2 日前
  • 読了時間: 5分

 金融庁は、「保険業法施行規則等の一部改正(案)」に対するパブリックコメントの結果(コメントの概要及び金融庁の考え方)を公表しました 。

 ただし、最も注目されていた乗合代理店における適切な比較推奨販売の確保については、今回は公表されず別途公表する予定とのことでした。


▼コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方


 昨今の自動車修理工場を兼ねる保険代理店等による保険金不正請求事案などを背景に、大規模な乗合代理店に対する規制強化や、保険会社による代理店管理の厳格化が打ち出されています 。


本記事では、改正の核となる4つのポイントと、それに対して実務現場から寄せられた切実な声、そして金融庁のスタンスを紐解きます。



1. 保険会社に対する体制整備義務の強化


 保険会社は、特定大規模乗合保険募集人(大規模代理店)に業務を委託する際、業務の健全な運営を確保するための「委託方針」を策定することが新たに義務付けられました 。また、代理店における法令等の遵守状況を検証するための「管理責任者」の設置も求められます 。


 さらに、自動車修理業などを営む兼業代理店において顧客の利益が不当に害されないよう、保険会社側で「措置を講ずべき業務」を特定し、保険金の支払査定の手続を通常よりも厳格に行う等の体制整備が必要となります 。


【特筆すべきコメントと回答:代理店への「委託方針」に関する位置づけ】


  • 現場の声 委託方針は代理店ごとに策定し、代理店との間で合意や開示が必要なのか。また、これに伴い既存の委託契約を見直す必要があるのか 。


  • 金融庁の回答: 委託方針は保険会社自身の委託の方針を定めるものであり、代理店との権利義務を定める委託契約とは性質が異なるため、代理店との協議・合意や公表は義務付けられていません 。ただし、必要に応じて代理店に内容を伝えることは考えられます 。また、既存の委託契約の変更は必須ではありませんが、委託方針と矛盾する条項がある場合は変更が必要になると考えられます 。



2. 特定大規模乗合代理店等に対する体制整備義務の強化


 収受する手数料等の規模が一定基準(20億円、または10億円以上など)を満たす大規模代理店に対し、上乗せの体制整備義務が課されます 。具体的には、「法令等遵守責任者」や「統括責任者」の設置 、苦情処理窓口の設置、内部通報・内部監査体制の整備などが義務化されます 。


【特筆すべきコメントと回答:特定大規模乗合代理店の基準と適用】


  • 現場の声: 手数料額(20億円等)を要件とした立法事実は何か。また、すでに銀行窓販規制が課されている銀行にも重複して適用する理由は何か 。


  • 金融庁の回答: 手数料等の収入額は保険代理店としての活動の程度を定量的に表すものとして適切であるためです 。自社に大きな収益をもたらす大規模な乗合代理店に対しては保険会社の営業上の配慮が働きやすく、力関係が逆転しやすい傾向にあるのは、代理店が銀行等の金融機関であっても同じであるため、同様の措置を講じる必要があります 。



3. 保険会社等による過度な便宜供与の禁止


 健全な競争環境の実現と適正な募集品質を確保するため、保険会社等から保険契約者やその「密接な関係を有する者」(代理店等)に対する、「取引上の社会通念に照らし相当であると認められない」特別の利益の提供が明確に禁止されます 。


【特筆すべきコメントと回答:便宜供与の線引きと「保険難民」への懸念】


  • 現場の声: 自動車ディーラーで車を購入し、かつ保険に加入した顧客だけに「窓ガラス破損を年間10万円まで無料」などのサービスを付与することは過度な便宜供与にあたりますか 。また、保険会社が便宜供与とみなされることを過剰に恐れ、代理店への訪問やサポートを一切やめてしまった結果、既存の顧客が放り出され「保険難民」が生まれることを危惧しています 。


  • 金融庁の回答: 顧客への特別な利益の提供に該当するかは、個別事例ごとに実態に即して実質的に判断されるべきものです 。また、取引と引き換えにグループ企業から物品を不必要なまでに大量に購入する等の行為も該当し得ます 。現場からの懸念に対しては「貴重な御意見として承ります」と回答しています 。



4. 保険仲立人(ブローカー)に関する対応等


 ブローカーに関しては、海外直接付保の取扱範囲が保険種目を問わず明確に許可されたことで、ビジネスチャンスが広がるポジティブな面が確認できます 。一方で、不祥事件の届出や便宜供与の禁止に関しては、「自社の規模に応じた自己判断」や「実態に即した実質的な判断」が求められており、ブローカー自身に高いコンプライアンス意識と自浄作用を求める金融庁の姿勢がうかがえます 。


【特筆すべきコメントと回答:海外直接付保における「保険種目」の制限について】


  • 現場の声: 今回の改正で保険仲立人が関与できる保険契約の範囲が拡大したが、要件を満たして許可を得られれば、保険種目に関わらず海外直接付保契約の募集ができるようになるという理解でよいか 。


  • 金融庁の回答: 御理解のとおりです。規則に規定する「保険契約」については、その保険種目に限定はなく、許可に係るすべての保険契約について保険仲立人が保険募集を行うことができます 。



まとめ


 今回の法改正案は、相次いだ不祥事を契機とした「顧客保護」と「適正な業務運営の確保」を強く打ち出した内容となっています。一方で、パブリックコメントからは、厳格化されるルールに対して「中小規模の代理店には事務負担が非現実的である」「過度な規制が逆に顧客の不利益(保険難民等)を招く」といった、現場の強い危機感が浮き彫りになりました。


 金融庁は原則として法令順守を求めつつも、個別の事情や規模に応じた柔軟な解釈の余地を残しており、今後の実務運用がどのように着地するかが注視されます。

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