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金融庁が損保の参入規制を緩和へ!「自社で保険会社を作る」新制度が業界に与える影響をわかりやすく解説

  • 執筆者の写真: ほけんイージー編集部
    ほけんイージー編集部
  • 5 日前
  • 読了時間: 5分


 最近のニュースで、「金融庁が損害保険事業の参入規制を緩和し、一般企業が簡易に損保子会社を設立できる制度を検討している」という報道がありました。


「一般企業が保険会社を作るってどういうこと?」

「私たち保険代理店の営業にどう影響するの?」


 そんな疑問を感じた方も多いのではないでしょうか。今回は、保険の募集人として知っておきたい「参入規制緩和」の背景と、新制度の仕組み、そして保険業界への影響について、専門用語を極力使わずにわかりやすく解説します。法人営業の際のリスクマネジメントの話題作りにも役立つ内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。



ニュースの概要:そもそも何が変わるのか


 今回のニュースの最大のポイントは、「一般企業が自社のリスクをカバーするためだけの保険会社(損保子会社)を作りやすくなる」ということです。


◆これまでの厳しい参入規制

 現在、日本で損害保険事業を始めるには、高いハードルがあります。保険は「万が一の時に確実にお金を支払う」という性質上、倒産してしまっては元も子もありません。そのため、金融庁による厳しい審査や、多額の資本金など、強固な財務基盤の維持が法律(保険業法)で求められています。

 そのため、一般企業が「自分たち専用の保険会社」を作ろうと思っても、現実的には非常に困難でした。


◆2027年を目指す新制度「簡易な損保子会社の設立」とは

 金融庁は、早ければ2027年の法改正を目指し、この高いハードルを下げようとしています。

 具体的には、「補償を提供する相手を親会社(自社)だけに限定する」という条件付きで、設立の手続きや財務基盤の要件を緩めるというものです。

 実は、このような「企業が自社専用の保険会社を持つ仕組み」は海外では珍しくなく、「キャプティブ保険会社」と呼ばれています。国内でも、手続きを簡易化することで、このキャプティブを導入しやすくしようというのが今回の動きです。


なぜ今、規制緩和なのか(背景にある2つの理由)


 では、なぜ今になって金融庁は規制緩和に踏み切ろうとしているのでしょうか。そこには、現在の保険業界が抱える大きな課題があります。


理由1:自然災害の激甚化と大手損保の引受負担増

 近年、台風や豪雨などの自然災害が激甚化・頻発化しています。大規模な災害が起きると、大手損保が支払う保険金は巨額になります。そのため、企業向け火災保険の保険料は値上がりが続いており、損保会社にとっても「これ以上の巨大なリスクは、自社だけで引き受けきれない」という状況になりつつあります。


理由2:サイバー攻撃など「新しいリスク」の多様化

 さらに、企業の事業リスク自体も多様化しています。例えば、大規模なサイバー攻撃によるシステムダウンや、サプライチェーン(供給網)の分断による巨額の損失などです。

 こうした「新しいリスク」や「被害額が読みにくいリスク」に対しては、損保会社も慎重にならざるを得ず、企業側が希望する補償額を満たせないケースが出てきています。

 つまり、「既存の損保会社だけでは、企業が抱える巨大なリスクをカバーしきれなくなってきた」ことが、最大の理由です。



「企業内損保」の仕組み


 ここで、新制度を利用した場合、保険の仕組みがどう変わるのかを図解で見てみましょう。

 例として、「一般企業が、大手損保と100億円の補償額の火災保険を契約したい」というケースを想定します。



◆企業側のメリット(保険料の最適化・リスクのコントロール)

 企業にとっては、自社でリスクの一部を背負うことで、大手損保に支払う外部流出の保険料を抑えることができます。また、自社の損害率をコントロールできれば、グループ全体で見たときのコスト削減につながる大きなメリットがあります。


◆大手損保側のメリット(巨大リスクの引き受けが容易に)

 大手損保から見ても、企業がリスクの一部を自己負担してくれるため、補償額を減らすことができます。「100億は無理でも、80億なら引き受けられる」といったように、柔軟な対応が可能になります。



保険募集人・代理店への影響〈これからの法人営業〉


 さて、一番気になる「私たち募集人にどう影響するのか?」という点です。


◆超大型契約におけるスキームの変化

 この制度を利用できるのは、多額の資金力がある大企業が中心になると予想されます。そのため、街の代理店がすぐに「お客様、自社で保険会社を作りませんか?」と提案するような商品ではありません。

 しかし、大企業を担当する法人営業においては、大手損保の担当者と連携し、「お客様の損保子会社と、どうリスクを分担するか」という新しいスキームの構築に関わる可能性が出てきます。


◆中堅・中小企業への波及は?募集人に求められる「リスクマネジメント」の視点

 中小企業には無関係かというと、そうではありません。このニュースの本質は、「リスクはすべて保険会社に丸投げする時代から、企業自身もある程度リスクを保有(自己負担)する時代へ移り変わっている」ということです。

 法人のお客様への提案において、「このリスクは免責金額(自己負担)を設けて保険料を下げましょう」「この部分は保険でカバーし、この部分は社内規定で防ぎましょう」といった、一歩踏み込んだ「総合的なリスクマネジメント」の提案が、今後ますます求められるようになるでしょう。



まとめ


 金融庁が検討している損保の参入規制緩和は、企業の巨大化・多様化するリスクに対し、企業と大手損保が「共同でリスクを背負う」ための新しい選択肢(キャプティブ)を広げるものです。


  • 早ければ2027年の法改正を目指している

  • 背景には「自然災害の激甚化」と「大手損保の引受能力の限界」がある

  • 大企業を中心に、自社でリスクを一部保有する動きが加速する


 今後、具体的な法改正のスケジュールや制度の詳細が発表されていくはずです。保険業界の大きな転換点となるニュースですので、日々の実務や法人のお客様との会話の引き出しとして、ぜひ今後の動向にも注目してみてください。


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