金融庁パブコメ結果を踏まえた比較推奨話法のポイントとトークスクリプトの実例


2026年8月28日に公表された金融庁のパブリックコメント結果(令和7年保険業法改正に係る内閣府令等及び『保険会社向けの総合的な監督指針』等の一部改正(案)に対するパブリックコメントの結果等)では、「ハ方式(代理店独自基準・経営方針等による推奨)」の廃止と、「ロ方式(顧客意向に沿った客観的な絞り込み・比較推奨)」の実質化が明確に示されました。
保険の知識や意向が定まっていない「既婚・子2人」の顧客に対して、従来の「代理店のおすすめランキング」や「販売方針」で特定の保険会社へ誘導する手法は認められなくなります。
まずは、全体の業務プロセス(大まかな流れ)と、各場面で厳格に遵守すべきパブコメ回答のポイントを整理します。
1. 相談プロセスの大まかな流れ
提案内容が最終的な顧客意向に合致しているかを確認(意向確認書の交付等)し、比較・選別のプロセス、推奨理由、顧客の最終選択を正確に記録・保管します。
2. 各場面で押さえるべき「パブコメ結果」の重要ポイント
場面①:来店・初期説明(取扱範囲と立場の明示)
取扱保険会社の網羅的な提示:
「取扱件数が少ない」「委託契約終了予定」「販売資格者が特定店舗にいない」などの代理店都合を理由に、顧客へ提示する取扱商品の母集団から不当に除外することは認められません。代理店全体としての取扱範囲を正しく開示する必要があります。
中立・客観的スタンスの宣言:
「当社の人気ナンバーワン」「当社推奨方針」といった旧ハ方式に依存した導入トークは完全に廃止し、「お客様の意向と客観的な商品スペックに基づいて比較・提案する」姿勢を冒頭で伝えます。
場面②:情報提供と意向の顕在化(ヒアリング)
「意向なし」への安易な誘導の禁止:
知識や意向がない顧客に対し、「みなさんこの商品に入っています」「とりあえずこれだけあれば大丈夫です」と特定商品を勧める行為は、顧客の最善の利益に反し、意向把握義務違反・比較推奨違反となります。
公的保障を踏まえた客観的コンサルティング:
顧客自身が保障の要否や水準を判断できるよう、国の公的保障(遺族基礎年金・遺族厚生年金、高額療養費制度など)の客観的情報を提供し、不足するリスク(万が一の生活費、2人分の大学資金等)を顧客自身が認識するプロセスを経る必要があります。
場面③:比較対象の選別と提示(客観的絞り込み)
「最安値」の一点張りによる即座の絞り込み禁止:
顧客が「できるだけ安いもの」と発言した場合でも、保険料の多寡のみで直ちに1社に絞り込んではなりません。保険料の安さの背景にある保障範囲、保険期間、更新性、免責事項、特約の有無などの差異を把握させ、総合的な意向に照らして比較対象を選別します。
比較ツールの恣意性排除:
比較システムや見積もりソフトを使用する場合、特定の保険会社が有利になるような表示順、重み付け、抽出ロジックになっていないか、客観的・中立的な条件設定が求められます。
場面④:商品の比較説明と推奨(具体的理由の明示)
代理店都合・主観的理由の完全排除:
販売手数料の多寡、保険会社からの便宜供与、代理店のキャンペーン目標、募集人の主観的・属人的な好みなどを理由とした選別・推奨は厳禁です。
理由の具体性と合理性:
推奨理由は、「顧客が重視した事項(例:保険料を抑えつつ子の独立まで十分な生活費を確保したい)」と、「商品スペック(例:非喫煙優良体割引の適用有無、年金受取総額の柔軟性、払込免除基準)」の対応関係を論理的かつ具体的に説明しなければなりません。
場面⑤:最終意向確認と記録・保存(証跡管理)
プロセスの可視化と事後検証性:
単に最終申込商品の意向確認書を交わすだけでなく、以下の履歴を後から検証可能な形で記録・保存する態勢が求められます。
当初の顧客意向と家族属性(既婚・子2人・知識なし)
比較・選別の対象となった商品の母集団
絞り込みに用いた客観的基準(保障内容・保険料水準等)
提示した複数商品の比較内容と推奨理由
顧客の最終選択および当初意向からの変更理由
2026年8月公表の金融庁パブリックコメント結果を踏まえた、「ロ方式(顧客意向に基づく客観的な比較・推奨)」の実務モデルスクリプトです。
※簡易的なモデルスクリプトですので実際の話法とは異なる場合があります。あくまで参考程度に御覧下さい。


コメント